”J-REITの基本的なしくみ②”に続いて、J-REITの費用や価格について説明したいと思います。
3.投資家が負担する費用
J-REITについて投資家が負担する費用は、株式と同様に下記の2つで、それぞれ購入時、売却時にかかります。(もちろん投資法人は外部へ業務を委託するので、その対価として委託報酬を支払っていますが、J-REITの市場価格は、それらも反映されたものになります。)
①購入手数料:購入の際に証券会社に支払う手数料になります。
②売却手数料:売却の際に証券会社に支払う手数料になります。
4.投資口価格と主な関連指標
商品としての成り立ちからして当然のことですが、価格や関連指標の考え方も株式とよく似ています。
①投資口価格
株式の価格が市場で売買される株価であるように、J-REITの価格は市場で売買される投資口の価格になります。これを投資口価格と言います。当然のことですが、投資口価格は、市場における需要と供給で決まることになります。
②分配金利回り
金融商品としてのJ-REITの特徴は、高い分配金利回りが期待できることであるため、非常に重要な指標となります。
「分配金利回り=1口あたり分配金額÷投資口価格」で求められます。
投資判断にあたっては、「過去の分配金や予想分配金をもとにどの程度の利回りを期待するか」、「投資口価格や分配金の変動等のリスクをどの程度想定するか」等の検討が必要になってきます。J-REITの商品性を踏まえた上で、事前にリスクを考慮しておくことは大事です。
③FFO倍率
FFO倍率は、投資口価格がJ-REITの”収益力”に対して割安か割高かを判断する指標です。
「FFO倍率=投資口価格÷年換算した1口あたりFFO」で求められます。
FFOは、Funds From Operationの略で、(ざっくり言うと、)J-REITが賃料収入として稼ぐキャッシュフローの金額です。このFFOを発行済投資口数で割った金額が“1口あたりFFO”になります。(実際には、多くのJ-REITの決算期間は半年のため、年換算のための計算がさらに加わることになります。)
すなわち、FFO倍率は、「1年間に賃料収入として稼ぐ現金の何倍の価格で、J-REITが売買されているか」を表しています。一般的に、FFO倍率が小さいほど割安とされています。
④NAV倍率
NAV倍率は、投資口価格がJ-REITの”資産価値”に対して割安か割高かを判断する指標です。
「FFO倍率=投資口価格÷1口あたりNAV」で求められます。
NAVは、Net Asset Valueの略で、(ざっくり言うと、)J-REITの保有不動産の時価評価額から借金を引いた金額です。このNAVを発行済投資口数で割った金額が“1口あたりNAV”になります。
すなわち、NAV倍率は、「保有している純資産の時価の何倍の価格で、J-REITが売買されているか」を表しています。一般的に、NAV倍率が1を下回ると割安とされています。
⑤LTV
(②~④が投資口価格の評価指標であったのとは異なり、)LTVは、J-REITの財務の健全性を判断する指標です。
「LTV=有利子負債÷総資産」で求められます。
LTVは、Loan To Valueの略で、「J-REITが不動産投資を行うにあたって、資金の何%を借入金でまかなったか」を表しています。
LTVが高いほどハイリスクハイリターンと言えますが、低ければ低いでリターンも下がることになるため、一概にどちらがよいとは言えない点には留意が必要だと思います。