B1.不動産ファイナンス

J-REITの基本的なしくみ②

”J-REITの基本的なしくみ①”に続いて、J-REITの運営スキームについて説明したいと思います。

2.運営スキーム

J-REITの運営スキームを理解する上で最も重要なことは、「投資法人が主役である」というポイントをしっかりおさえることだと思います。J-REITのしくみの中心には投資法人という会社があり、この周りに関係者がいるイメージになります。
J-REITが行う不動産取引はこの投資法人を通じて行われます。投資家はこの投資法人のいわば株主になることで、投資の果実を得ることができるわけです。また、投資法人は自ら業務を行うことはなく、外部へ委託して、各関係者に業務を行ってもらいます。(投資法人の仕組みや関係者の役割は「投資信託及び投資法人に関する法律」によって定められています。)

① 投資法人の仕組み
投資法人は、株式会社とよく似ています。株式会社の場合、株式を保有している株主が配当金を受け取ります。投資法人の場合、投資口を保有している投資主が分配金を受け取ります。株式は株式市場で売買され、投資口はREIT市場で売買されます。

一方で、投資法人には、株式会社とは異なる下記2つの特徴があります。
・(投資のための器として機能するだけで、)自らは業務を行わない。
・利益の90%以上を分配金として支払うことで、法人税が実質的に免除される。

投資法人は、投資主が拠出した資金の他に、銀行借り入れ等も行い、不動産を取得。テナントからの賃料収入を得て、投資主に分配金を支払います。

② 投資法人の周りにいる関係者
投資法人は自ら業務を行うことなく、外部へ業務を委託するのですが、その委託先は、資産運用会社/資産保管会社/一般事務受託者の3つです。この中で最も重要な役割を果たすのが、資産運用会社です。

(1) 資産運用会社:資産運用会社は、投資法人の活動をコントロールする頭脳の役割を担っています。また、資産運用会社はスポンサーと呼ばれる会社によって設立されています。スポンサーは資産運用会社に出資しているだけでなく、人材の拠出もしています。さらに物件の提供等各種サポートも行う、J-REITの運営に大きな影響力を持つ重要な存在です。前回の記事で名前がでた、日本ビルファンド投資法人を例に挙げると、資産運用会社は日本ビルファンドマネジメントで、スポンサーは三井不動産になります。

(2) 資産保管会社:投資法人の資産に関する重要な書類を保管します。信託銀行がその役割を担っています。

(3) 一般事務受託者:投資法人の資産の運用や保管以外の業務を行います。会計・税務の事務であれば会計税務事務所等が、投資法人の投資主総会等の運営の事務であれば信託銀行がその役割を担っています。

なお、投資した不動産の建物やテナントを管理する役割を担う不動産管理会社は、資産運用会社のもと業務を行うイメージになります。

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ダブルデッカー
FPです(ファイナンス修士/CFP認定者/FP1級技能士/宅建士)。 資産運用の観点から金融リテラシー向上に役立つ発信ができれば、と思っています。