ここでは、先日の米大統領選挙について思うことをお話してみました。
1.大統領選の印象
11月に実施されたアメリカ大統領選挙の結果がすぐに判明したことについて、意外な印象を持たれた方も多いのではないでしょうか。私もてっきり接戦になると思っていたので、トランプ氏勝利であっさり決着がついたことには少なからず驚きました。いろいろとメディアの分析を聞いていると、トランプ氏の経済政策のわかりやすさと不法移民対策が有権者に響いたのではないかとのことです。6・7月に実施されたフランスの下院選挙、10月の日本の衆院選挙でも与党が大敗していましたし、国を問わず、コロナ後の物価高で生活が厳しくなった国民の審判が現政権に下っているという感じがします。
2.選挙結果を受けた米株式市場
その一方で、アメリカの株式市場は、大統領選以降、共和党が(大統領に加えて)連邦議会選挙で上下両院とも制するトリプルレッドを先取り。トランプ氏が掲げる減税や規制緩和の実現を期待し上昇。S&P500も2024年11月29日の終値で6032.38と6000ポイント台にのっています。年始が4700強だったことを考えると、2023年に続き今年も株が上がった一年ということで終わりそうな気がします。(込み入ったお話になりますが、実際の選挙結果は市場の想定通りトリプルレッドになったものの、上院で5分の3の議席数には届かなかったため、議会の制度上民主党の意向を無視できない状況ではあります。)
たしかな根拠があるわけではないのですが、トランプ氏は株式市場の動向に敏感なので、現在掲げている関税引き上げについては交渉材料とはするものの、発動には慎重になるのではないでしょうか。金融市場に精通した投資家のスコット・ベッセント氏を財務長官に起用していることからも、案外バランスに配慮した政策運営をするのではないかという印象を受けます。
3.今後の米株式市場に関する個人的見解
実体経済が強い現状を踏まえると、ソフトランディングが実現し、株価が長期的に堅調を維持するシナリオも十分あり得ると思います。ただし、ショックは突然きますので、もちろんハードランディングの可能性もあります。さらに言うと、トランプ氏が本当に関税を大きくかけ始めれば株価は落ちると思いますし、その可能性も排除はできないと思います。
なお、あくまでご参考ですが、11月前半に出たブルームバーグの記事によると、著名なストラテジストのエドワード・ヤルデニ氏が「経済政策への期待がアニマルスピリッツを解き放ちつつあり、S&P500は2029年末までに1万の大台に到達するだろう」という主旨の発言をしているとのことです。実際の株価はその時になってみないとわかりませんが、不確実性に備えたリスク管理は意識しつつも、個人的には期待を込めてそうあってほしいものだと思っています。