A2.インデックス投資

積立投資の考え方

iDeCoや積立NISAなどで積立投資をされている方も多くいらっしゃると思いますが、ここでは投資信託選び以前の『積立投資の基本』にあたる部分についてお話をしたいと思います。 具体的には、「そもそも積立投資とはどういう考え方に基づいているのか?」、「(そうした考え方を踏まえた上で)追加でおさえた方がよいポイント」、及び「インデックスファンドが選ばれる理由」の3点なります。
(なお、以下では、投資対象として株式投資信託を想定して説明しています。)

1.基本的な考え方

積立投資の基本的な考え方を一言でいうと、「長期間で購入口数を増やして、出口で売却益をとる」ということだと思います。


ある投資信託を売買する場合、売却益は次の通りになると思います。

 売却益=(売却平均単価-購入平均単価)×保有口数-諸費用(税含む)・・・【※】

例えば、10年間毎月1万円ずつ積立投資をして10年後に売却するケースで考えてみると、その根っこにある考え方は、「この投資対象は、(アップダウンはあるかもしれないが、)10年間の長期で見ると価格が上がっていくと思う。だから、投資したら儲かるだろう。ただ、現時点では、まとまったお金が手元にないので、今後の収入の中から一定額ずつ積立てていこう」ということだと思います。

ここで大事なことが2つあると思います。

①長期で上がるものに投資する
まず、一番大事なことは、「その投資対象は、本当に“長期で価格が上がっていく”のか?」ということだと思います。ここが崩れてしまうと、そもそも積立投資が成り立たなくなってしまいます。
さらに、「そのことについて、自分自身が納得してそう思える」という点も大事だと思います。積立投資では長期間保有しますので、自分自身で確信が持てないものだと、精神衛生上も良くない期間が発生する可能性が高く、場合によっては続けることが困難になりかねないと思います。また、すべての投資に言えることですが、結果はすべて自分に返ってきますので、自分で判断することが大切だと思います。

②出口に気をつける
次に大事なことは、「出口に気を付ける」というだと思います。例えば、株式インデックスに連動する投資信託を購入した場合でも、大きな暴落は10年に一度くらいで起きていると思います。リスク資産に対して積立投資をされる場合には、出口(=売却)の際に不利益を被らないように気を付ける。そのために、投資対象の値動きについて大きな流れは把握しておく必要があると思います。

2.追加でおさえた方がよいポイント

さらに、追加でおさえた方がよいポイントが3つあると思います。

①投資対象について
投資対象は、リスク分散の効いたものを選んだ方がよいと思います。「卵は1つの籠に盛るな」という投資格言は有効です。長期で投資するということはリスクにさらされる時間もそれだけ長くなるので、尚更です。
また、低コストであることは重要です。購入手数料等コストは、売却益に直結します。長期間保有することに加えて、購入回数も多くなりますので、手数料にはこだわる必要があると思います。(計算式【※】の「諸費用(税含む)」の部分に該当。)

②税制優遇ついて
税金も重要な要素です。売却益には税金がかかります。iDeCoや積立NISAなどの税制優遇を使うことで、事実上の更なるコストダウンが可能になります。(計算式【※】の「諸費用(税含む)」の部分に該当。)

③一括投資との使い分けについて
ただし、積立投資が一括投資にくらべて有利な投資手法というわけではなく、それぞれの特性にあった使い分けをする必要がある点については留意が必要です。積立投資は、まとまった資金が手元にない場合にとる投資手法ですので、既にまとまった資金を持っている場合には一括投資を考える必要があります。例えば、「120万円を10年間一括投資した場合」と「毎月1万円ずつ10年間積立投資した場合」のパフォーマンスについて考えると、直感的に理解できるのではないかと思います。

3.インデックスファンドが選ばれる理由

ここまでの話でもうお分かりだと思いますが、株価指数に連動するインデックスファンドは下記の条件を満たしているものも多く、それが積立投資の対象に選ばれる理由になっています。
・長期で価格が上がっていくことが期待できる。
・リスク分散が効いている。
・低コストである。(さらに、iDeCoや積立NISAなどの税制優遇が受けられるものも多い。)

ただし、どの株価指数に連動するものを選ぶかについては、慎重に考える必要があると思います。

ABOUT ME
ダブルデッカー
FPです(ファイナンス修士/CFP認定者/FP1級技能士/宅建士)。 資産運用の観点から金融リテラシー向上に役立つ発信ができれば、と思っています。